"飾らない魅力"でたくさんの人に温もりを

日新信用金庫 江井ヶ島支店 支店長 中西  祐樹

 

囲炉裏

 

取材が終わりその場を後にしようとすると外は雨。やっぱり冬の雨は冷たいな。そう思いながら小走りで会社へ戻った私の手足は冷え切っていました。しかし胸はずっと温かいまま。寒さもあまり感じず、心にポカポカと温もりが残っている。例えるならさっきまで囲炉裏にでもいたようなそんな感覚でした。

囲炉裏といえばみなさんご存じのとおり、室内の床の一部を四角に切り抜いて火をたくようにした場所です。暖房や料理の煮炊きに用いる炉のようなものですが、その他にも様々な機能を有しているのをご存じでしょうか。火が主要な照明であった時代の囲炉裏は安全に部屋を照らすことができる採光としての設備。また衣類や食料を乾かす乾燥機のような役割や、着火が容易でない時代に火種としても使われました。そして私が注目するポイントは2つ。ひとつは家族や人を集結させる場としての機能があったこと。食事をするときや夜間は人が自然に囲炉裏の周りに集まり、会話が生まれます。2つめは部屋中に暖かい空気を充満させることによって、家の壁や柱に溜まった湿気を飛ばし腐食しにくくする効果があったりします。また薪を燃やすときの煙が屋根の建材に浸透し、防虫性や防水性を高めてくれていたとも。

囲炉裏は生活を、拠点を、人間関係までをも豊かにし、守ってくれる貴重な場所でした。

話が少し逸れましたが会社に戻った後、私が感じた“囲炉裏にでもいたような感覚”。日新信用金庫江井ヶ島支店はまさに“囲炉裏”のような空間でした。そしてなによりも取材させていただいた支店長が“囲炉裏のような人”だったんだなと後日振り返ることになりました。今回は、お客様を、職場を、この地域を温かく見守り支え続けている“囲炉裏のような支店長”をご紹介します。

 

“飾らない魅力”の原点

 

1976年、母の故郷である石川県金沢市で産声を上げ、生後すぐ明石の地へやってきた中西さん。そして45歳になる現在まで明石で過ごされました。社内の異動も何度か経験し明石から離れる時期もありました。しかし意図せずまたこの地へ戻ってくる。自分は根っからの「明石っ子」だと笑顔たっぷりで答えてくれました。

幼いころは車や船、電車、飛行機などの乗り物に興味を持って、両親にどこかに連れていってほしいとねだる甘えん坊の男の子でした。スポーツをしていた親の影響もあり体を動かしたりスポーツをみることが好きで、夏休みに銛を持って毎日海に潜っていた記憶があるそうです。野球やラグビーなどスポーツに明け暮れていたという学生時代。大学の経済情報学部に通いながらも自身の将来についてはあまり深く考えることができていなかったと昔を振り返ってくれました。

「子供の頃、これといった夢はとくになかったんですよ。だから困ったもので…。どうしましょう。」

事前に渡したインタビュー項目を眺めながら飾らず正直にそう話してくれました。ここでひとつ中西さんの素直で素朴な人柄がうかがえた気がしました。

また信用金庫に勤めるようになったキッカケや気持ちを聞いたときもこのような回答。

「【明石で育ったから明石の企業で恩返し】というビジョンは当時の自分にはなく、【自宅に近いから明石の会社がいい】と漠然と応募したように思えます。ただ入庫面接では、様々な人に出逢って自分を成長させることができそうなので志望しましたと話した記憶があります。」

これまた正直な感想。自分を大きく見せたいだとか、よく見られたいという思いは少しも感じない。なんて正直で素直な方なのかと思いました。

「授業中も横を向くなとよく怒られたし、ほんとに遊んでばっかりでしたよ。」

気付かないうちにスッと懐に入ってくる親しみやすさや純粋で朗らかな様子は今も昔も変わらないんだろうな。“飾らない魅力”の原点が少し垣間見えました。

 

「私は恵まれていただけ」という口癖

 

取材中、何度も耳にした「私は恵まれていただけです。」という言葉。口癖といえば聞こえが悪いかもしれないが、どんな話を聞いてみても必ずこの言葉が出てきました。

Q. どのような職場ですか?

A. 「朗らかな人財と柔らかく温かいお客様に“恵まれ”支店内の雰囲気はとても明るいです。才能豊かな職員ばかりなので頼もしく感じています。」

Q. 支店長としてなにか心がけていることはありますか?

A. 「職場の良い雰囲気を自分自身が壊さないことが一番です。私はなにもしていません。職員が優秀ですから。ほんとに私は“恵まれていますよ”。」

信用金庫支店長ともなれば、「職員たちにはこう言い聞かせています。」だとか、「自分はこんなことができる。」だとか、もう少し“威張って”もいいはず。普段は口にできないような自分の考えを大きくアピールする良い機会でもあるはず。しかし支店長は事あるごとにこう言うのです。

「取り柄もなければこれといって得意なこともないですからね。昔からほんとに周りに“恵まれているだけ”なんですよ。どうしましょう。」と。

謙虚にそう話す支店長をよそに、私はこの人は自分自身の魅力や才能にあまり気づいていないなと思いました。自然と人に恵まれるという“非凡な才能”を持っているということを。

 

“人に恵まれる”ということ

 

相手に寄り添う為の配慮や気遣い、時には厳しさなどたくさんの努力がなければ必ず人には恵まれない。シビアですが持って生まれたほんの少しの才能”も持ち合わせていなければいけない。良いことがなにもかも自然とやってくるわけではないし、望んだことが運よく自分の周りに現れ続けるわけなどない。支店長は“飾らない魅力”で人を、笑顔を、幸せを、彼自身の才能と努力で引き寄せているはずです。

営業中の信用金庫はとても清潔で笑顔が溢れていましたし、取材撮影の際も職員の皆さんは笑顔で対応してくださりとてもアットホームな雰囲気を感じました。印象的だったのは支店長が入庫したばかりの新人職員さんと親しげに会話している様子。その姿はまるで「社会人になってみてどうや?仕事は大変か?」と我が子に聞く父親、「父さん。社会人ってほんまに大変やな。」と父親に相談する子供そのものでした。

支店長として数々の役割を果たし、みんなの心を温め、そして守ってくれる存在。まさに“囲炉裏”のような存在ではないでしょうか。

「“恵まれています”」という口癖。支店長は果たしてこの口癖に気付いているのだろうか?いや、気づいていないのが彼の“飾らない魅力”のひとつなのかもしれない。

 

地域に密着し、信頼される日新へ

 

「信用金庫の近隣にある明石市立江井島小学校が今年150周年を迎えたことからもわかるように、この地域は歴史と伝統が根付く誇り高い地域。地元を愛する気持ちが体内に備わったお客様と接する機会が多いです。公共性が高く社会性が求められる仕事であることを常に意識しながら、お客様と身近で気持ちの良い関係を構築するために、距離を縮めて仕事をするように心がけています。」とこの地域について、そして業務の取り組み方について話してくれました。

日新信用金庫は事業者の問題解決をより鮮明に発揮するために4年前にソリューション事業室を開設。販路拡大や改善支援・人材確保等の本業支援に加え、創業支援・事業継承・補助金制度へのお手伝いやセミナーの実施など、状況にあった取組みを行っています。また今コロナ禍においては、地域事業者を支援する為に県内各信用金庫と連携しながら製品の共同購入など地域経済にも貢献しています。

支店長は今後について、

「人口が増えつつある明石ですが、事業者数は経営者の高齢化などの理由から減少しています。地域金融機関の責務として経営者や従業員の皆様が事業を維持・継続しやすい環境作りに努めて参ります。また日新信用金庫の理念【地域社会に密着しお役に立つ信用金庫として信頼される】に基づき、人に寄り添い、地域の豊かさと発展に貢献していくことが目標です!」と答えてくれました。

そして「親が世話になったから…。」や「先代から『苦しい時に助けてくれたのは日新だった』と聞いているので」などの評価が存在意義であり、その声を継続していくことが大事なんですと長期的な目標も話してくれました。自分の話となると困り顔でしたが、仕事の話になると“支店長”の顔。その姿はとても凛々しく、そして熱い想いがひしひしと伝わりました。だが、そのあとすぐ「ぼくのインタビュー大丈夫ですか?もうちょっと考えましょうか?この後写真でしょ?写真撮られるのは苦手なんですよね。」と話す時には、親しみのある「中西 祐樹」に戻っている。本当に魅力に溢れた方でした。

日新信用金庫江井ヶ島支店は、今後も“地域の囲炉裏”としてたくさんの人が温もりを求めてやってくるでしょう。

そしていつもそこには、お客様を、職場を、この地域を温かく見守り支え続けている“囲炉裏のような支店長”が笑顔で迎えてくれるはずです。

地域の子供たちが描いた明石の絵

名称 日新信用金庫
支店名 江井ヶ島支店
住所 〒674-0064 兵庫県明石市大久保町835−1
電話番号 078-946-0623
ホームページ https://www.nisshin-shinkin.co.jp/index.html