伝統を受け継ぐ明石の老舗和菓子屋

藤江屋分大

明石随一の和菓子の名店

 

ここ明石の地で長きに渡り食文化を支えてきたお店といえば【藤江屋分大】という店名がぱっと頭に浮かんでくる方は多い。地元の方に代々愛され今日まで歩んできた月日は 200 年以上にもなる老舗中の老舗。【藤江屋分大】は明石で知らない人はいない和菓子の名店です。変わり行く時代の中でこの歴史ある和菓子店はどのように伝統を守ってきたのか。今回は和菓子の名店【藤江屋分大】についてご紹介させていただきます。常務取締役である安藤立也さんにお話をお伺いしました。

 

創業時から変わらぬ製法「分大餅」

 

明治が始まる 50 年前である文政元年(1818 年)に創業された【藤江屋分大】。創業者である初代藤江屋寅吉さんは当時、江戸時代の参勤交代から戻ってきた人から、「江戸とはどのような所であったか」という話の中で、少し変わった「大福餅」が流行していることを知りました。当時江戸では白・赤・緑の3色の大福餅が流行ってい たそうで、味はもちろん見た目が鮮やかでとても珍しい商品であるということを知った初代。この「3色の大福餅」をヒントに作られたのが【藤江屋分大】を代表する商品である「分大餅」であると安藤さんは教えてくれま した。創業当時からその製法は変わらず今なお多くの方に親しまれている人気商品である「分大餅」。【藤江屋分大】が歴史ある老舗だということを証明する“偉大な和菓子”の物語がそこにありました。

 

長年愛されてきた理由

 

200 年もの歴史があると、数えきれないほどの苦節があったことは言うまでもないでしょう。戦時中はお店を閉めることを余儀なくされましたし、戦後苦しい状況下や阪神淡路大震災などの災害時などお店を続けていくことが 困難になる局面を数々迎えてきた【藤江屋分大】。なぜこの和菓子店の伝統は苦境の中でも途切れなかったのか。それは【藤江屋分大】を愛してくれたたくさんの方がいらっしゃったからだと安藤さんは話してくれました。

「【藤江屋分大】内部の人間の力だけでは到底お店を守り抜く事は出来なかった。良い時も悪い時も【藤江屋分大】を愛し、そして支えてくださった多くの方がいらっしゃった事が大きいです。とくに戦時中や戦後など続けていくことが困難な時に手を差し伸べてくださったのが“文化人”の方々でした。”歴史ある店を潰してはいけない”。”こんなにも長い間、地元の方に愛されるお店なのだから必ず守っていかなければいけない”。このように知恵を絞って寄ってくださった“文化人”の方々の尽力があり苦境を乗り越えられたのです。」

安藤さんはお店の歴史について熱く語ってくれました。そして、【藤江屋分大】を今日まで大事にしていただけた大きな要因はやはり「味」であると力強く答えてくれました。

 

職人が作る至極の和菓子

 

「【藤江屋分大】が一番ではないかもしれない。ただ最高ではないが“最善を尽くす”ことが重要であり、それを日々追求してきたという自負があります。材料の質は落とさないし、今まで使ってきた素材が存在し続ける限りは変えないというこだわりは持っています。そして決して惰性ではなく、良い緊張感をもって日々丁寧に作り上げる事を心がけています。」

生粋の和菓子職人である安藤さんは、こだわりについてこのように話してくれました。間違いない「味」、そして期待を決して裏切らない「安心感」で選ばれてきた【藤江屋分大】の和菓子。明石の風物の鯛にちなんだ「めで鯛もなか」は有名で、たっぷりのこしあんが見えることから「笑いもなか」とも呼ばれる縁起の良いお菓子は手土産にすると間違いない一品です。また、創業当時にとても高価であった砂糖を控え、小豆の風味を活かすなどの工夫をこらし発案された羊羹。丁稚でも買える安価なものにという意を込めて作られた「丁稚羊羹」は今なお愛される人気商品です。その他にも「梅の春」や「かけはし」といった通年商品や「分大餅」、「うすぐも」、「鹿の瀬」などの季節商品。とてもバラエティ豊かでどれをとっても老舗ならではの歴史を感じる深い味わいが楽しめます。ちなみに3月下旬~9月下旬に販売される「うすぐも」、9月下旬~3 月 下旬に販売される「分大餅」。店頭に「うすぐも」が並び始めると春を感じ、「分大餅」に切り替わると”もう夏も終わりだな”と、和菓子を通じて季節を感じることができる点も【藤江屋分大】の魅力のひとつではないでしょうか。

 

 

 

伝えたいたったひとつの想い

 

安藤さんは今後についてこのように話してくれました。

「長年愛されてきた老舗和菓子店として“変わらない味”を追求しています。ただ変わらないものなど無いとも思っています。時代が変われば人々の趣向も変わるし、もちろん人は成長し老いていくので味覚も変わってきます。“変わらない味”というのはとても解釈が難しいものなのです。だからシンプルに常に“良いもの”を作るという想いを持ってその都度ベストを尽くしていくことが大事であると考えています。私も長年和菓子と向き合ってきて 形・色・味たくさんの事について自分なりの考えを持ちましたが、結局言いたいことはたったひとつ。”毎日心を込めて作っています”。ただこれだけです。」

そして最後に、食文化の和菓子という側面で郷土文化に貢献できるようなお店でありたいと熱く語ってくれまし た。安藤さんの想いはきっと【藤江屋分大】で作られる全ての和菓子に込められています。そしてその想いは【藤江屋分大】の新たな歴史や伝統となり、一代、そしてまた一代と受け継がれ、これからも明石にその名を刻んでいくことでしょう。和菓子の名店【藤江屋分大】で至極の一品を是非ご賞味ください。

住所 兵庫県明石市本町1丁目12-17
電話番号 078-911-3635
営業時間 9:00~18:00
定休日 火曜日
駐車場 有 ※4台
クレジットカード
座席
貸切可否
予算目安 ~¥1,000
お子様対応